足音
私が一方的に傷ついて、無理して彼に合わせて笑う姿を想像してしまった。
できることなら、このまま教室まで逃げちゃいたい。
…そうしよう。
す、と壁と稲毛の間をすり抜けて、教室に通じる階段を目指す。
「あ、ちょっ…おい、待てよ!」
パタパタパタパタと、上履きの足音。
たぶん、稲毛のほうが筋肉のあるぶん体重が重いんだろう。
どこか重量感のある上履きの音に、違和感しか覚えなかった。
早く、早く、教室に行きたい。
半分走るように階段をかけ降りる。
――追われるのって、こんなに嫌なの?
好きじゃない人に追われるのって、こんなにストレスなの?
「…っ」
足が止まってしまった。
足音が迫ってくる。
嫌だ、どうしようもなく――
私は1週間、こんなに不快な思いを南にさせていたの?
ああ、そりゃあ嫌われる。
あんなにも拒絶されるわけだ。
私は安らいだけど、彼が安らいだわけじゃない。
彼にはきっと、ストレスだったはずだ。