足音
――連れ出して、なんて。
バカみたい。
彼に今拒絶されたばかりなのに。
あの幸せな、暖かい1週間はもうこない。
南ぃって、もう呼べない。
たまに止まってくれる歩幅を、一生懸命追いかけた時のあの足音のリズムも、もう聞けない。
なぜなら、拒絶されたから。
彼はきっと、私と稲毛が付き合うのを望んでいる。
「ふ、ぅ…うっ…ぁあ」
そう考えると、目がにじんだ。
プールのときにゴーグルに水が入ったような視界。
「どうしたの?何泣いてるの?」
頭を撫でられても、全然安心できない。
「ひっ…ふぐっ」
止まない嗚咽に悲しくなる。
意味わかんない。
違う男の中で失恋に泣くなんて。
ああ、もう。本当に――
「…え?」
そのときだ。
ゴーグルの隙間から白が舞ったのは。