先生の手が触れる時

別れ


お盆が明けて、私は美術室に向かった

ここに来るのも最後。

そう考えて、少し泣きそうになる

「………大丈夫…」

そう小さく呟いて、ゆっくりドアを開ける

そこは誰もいなくて
でも、先生の絵がたくさん飾ってあった

その匂いも色も景色も全部
私は忘れないように体に刻みこむ

すると、真後ろで人が立つ気配がした

「……遠野?」
「………っ」

びくりと体がゆれる

先生の声だ


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