先生の手が触れる時

優しさ


父親に脅されてからしばらくして
私は美術準備室の前で立ちすくむ

あの倒れた日から私は美術室に近寄ってなかった

「………どうしよう」

わざと美術の授業もサボってたので、先生に会うのも久しぶりだ

「…よしっ」

意を決して美術室のドアを開ける

「失礼しまーす」

中には誰もいなくて、少し安心する面、少しだけがっかりする

「……先生、いないのか」

私は殺風景な美術準備室を見渡す

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