すずめ日記
嫌みを散々言われ店の掃除をし、新聞配達で受けられない講義のレポートを辞書や参考書を引きながら夜中までかかって仕上げる日々の繰り返し。

楽しい娯楽も友達との楽しい語らいの時間もなく、毎日汗だくでインクの炭で顔も服も薄汚れた格好。

今、休暇をもらって家に帰ったら全てを投げ出し大阪へは戻りたくなくなってしまう。

だから、父の言葉のせいにして帰ってはいけない。

帰る家はないんだと自分の気持ちを奮い起たせていたことに気付いて、ただ涙が溢れた。

涙を拭いながら出発日の父の言葉を話した後、ゆっくりと続けた。

「倉本さん……でも、 わたしね。父と新聞配達してる間は家に帰らないって…約束したんです。休みをもらって佐世保に帰ったら、もう帰りたくなくるから……わたし自分に負けたくない」

懸命に溢れる涙を拭いながら話した。

「……そうか~」

倉本さんの目が赤くなっていた。
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