この甘き空の果て
「楼羅じゃない、他の博士が飛行機を手直しするだけだ。
 ……これが、本当に最後なら。
 俺は、楼羅の機体で飛びたいんだ。
 だから、楼羅。俺のための最後の飛行機を作って?」

 言って、亮は、そっと笑った。

「俺に手足が半分無い以上、他に仕事は付けないし。
 逃げて失敗したら、銃殺刑が待っている。
 亡命に成功しても、俺は敵を殺し過ぎたから、きっと。
 向こうでも殺される。
 どうせ死ぬなら、暗い牢獄に俺を閉じ込めないで。
 最後まで『蒼王』として、空を飛んでいたいんだ」




 ああ、そうだった。




 亮は、昔から空に憧れていたっけ。

 いつかは、絶対飛びたいと毎日空を見上げる亮のために、わたしは、飛行機を作って来たんだっけ。

 そんな彼を、地面に縛ってはいけない。

 だけど。

 だけど……!

 わたしは、溢れてくる涙を拭わず言った。

「どうしても飛ぶと言うのなら、わたしも連れて行って。
 これが最後だって言うのなら。
 一度ぐらい亮が好きな空をわたしにも見せてよぉ……」

「楼羅」

「帰って来ないあなたを待つのなんて絶対嫌ぁ……!」

 泣いて

 泣いて

 泣き叫ぶわたしを、亮は残った右腕でしっかり抱きしめ。

 そして、小さく頷いた。





 
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