幼なじみの彼と彼女
「梓はやっぱり桜ヶ丘?」

祥太郎は切なく笑う。

桜ヶ丘は真由や拓海が通っていた高校だ。

「…今の成績じゃ、多分無理」

制服も可愛いし憧れるけど、無理。

「じゃあ、どこに行くつもりなの?」

祥太郎が立ち止まった。

梓は数歩先を歩いて振り返る。

「…光高校かな」

一学期の中間テストが終わった時点で担任からは桜ヶ丘を諦めるように言われた。

紀香が桜ヶ丘よりも2つくらい下の光高校を受けようかな、と言っていたので一緒に受けようかな、と思い始めていたのだ。

「…光、かあ」

祥太郎はため息をつく。

光は公立だから、祥太郎にとっては論外だった。

今の活動をサポートしてくれる高校になると拓海が通っていた桜ヶ丘くらいしかこの近辺にはない。

梓の成績が桜ヶ丘のレベルに達していないのは祥太郎も知っていた。

かといって。

祥太郎が光に行くのは授業の出席など色々な面でかなり厳しい。
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