天狗娘は幕末剣士
その言葉に、隊士さん達全員が身を引き締めた。
浅葱色の羽織りを着た男達が、池田屋の前に立ちはだかる。
「……杏子くん、君は池田屋から少し離れていなさい」
「え……」
「これから少し、ここは危険な状態になる。
そんな所へ、君を連れてはいけない」
「……大丈夫です」
そう言って、私は近藤さんの隣に並んだ。
「自分の身は、自分で守ります。
だから……私も連れて行ってください」
「しかし……」
「お願いします」
私は、近藤さんの目を真っ直ぐに見つめた。
「……分かった。
だが、決して無理をしてはいかんぞ」
「はい!」
隊服を着た私も、小太刀を握って池田屋を見据えた。
「では……行くぞ!!」
「「おお!!」」