天狗娘は幕末剣士


「……悲しいのか?」




斎藤さんの問いに、私は首を横に振った。




「嬉しいんです……」




あなたが生きていてくれたから。




私は、それだけで、もう十分に嬉しかった。




「杏子、一くん」




平助くんに名前を呼ばれ、私達が振り向くと、彼はニコッと笑った。




「帰ろうぜ、屯所に。

 俺達の、家にさ」




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