天狗娘は幕末剣士


「でも、傷はもう全部治ったし、まだ仕事は出来ないけど、お掃除くらいはやりたいし……」




「ふーん、エラいね。

 でも、あんまり頑張りすぎちゃうと、また土方さんに怒られちゃうよ?」




「あ、あはは……」




それから、庭の掃除を終わらせた私は、土方さんの部屋に呼ばれた。




丁度さっき総司に言われた様に、私また怒られるのかな……




「あの、土方さん、用事って……」




土方さんの前に座らされ、私は恐る恐る尋ねる。




「ああ、大した事じゃねぇんだけどな。

 この後、全員で島原に行こうと思ってよ」




「え、島原、ですか?」




島原は、京で有名な花街。




新選組の皆さんも、時々行っているみたいだけど……




いつもは、個人で行くのに、どうして今回は皆で行くんだろう。




私が不思議に思っていると、土方さんがフッと笑った。




< 261 / 268 >

この作品をシェア

pagetop