夜が明けたら、君と。


ホテルの上階は遮るものが少ないせいか朝日の入りもいい。
私は窓から差し込む光で目を覚ました。

隣にはまだ男が、……イチヤが寝ている。

あごひげが少し伸びていて、頬ずりしたら痛そう。
でもやってみたい欲求に駆られて、苦笑する。

夢の一夜は、もう終わったのにね。

私はこっそりベッドから抜け出し、衣類や荷物を全てまとめてバスルームへ向かった。
さっとシャワーを浴びて、起こす前にここから去ろう。


夜が明けて、ようやく彼を許す気持ちになってきた。
遠距離恋愛で寂しかったのはお互い様なのに、我慢できなかった彼を許せなかった。
だけど私だって、本当は弱かったんだ。
間違いの一夜でこれほど満たされるほどに。

これでイチヤが先のある相手なら良かったと思うけれど、彼は既婚者。
綺麗にお別れしていい思い出にしたい。

世の中には、ままならない事が多すぎる。

メイクまで済ませてバスルームを出ると、ドアノブに手をかけていた右腕を引っ張られ引きずり出される。

空気が冷たい、と思っているうちにバスルームの扉が音を立てて閉められ、私の目の前に昨日何度も見つめた顔が至近距離で近づく。

上半身裸の彼が、私を壁に押し付けた。

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