『本気の恋愛』始めましょ

　でも、少しは大人っぽくなりたくて、長かった髪をバッサリと切ったのはいいのだけど、それが一段と幼さに拍車を掛けるというのは誤算だった。自分でも悲しいくらいに中学生くらいにしか見えない。


「別れたよ」

「案外、あっさり言うなぁ」


「本気で好きになる前で良かったと思う」


「好きじゃない男と付き合う理由がわからない」



　計都のようにモテる男の人にはわからないかもしれないけど、外見にコンプレックスを持っている私は、自分のことを好きになってくれる人に好意を持ってしまう。


　私のことを好きになってくれる人なんてそんなにいない。



「恋をしてみたかったの。好きと言われて嬉しかったの」


「かなえは外見とかじゃなくて、中身が中学生だな。本気の恋愛してないからそんなことに憧れる」


「計都はあるの？本気の恋愛」


「あるに決まっているだろ。さ、早く資料を並べないと間に合わない」