『本気の恋愛』始めましょ
 二人で黙々と資料を並べていると、廊下がガヤガヤ煩くなって、ドアが開いたかと思うと、営業課の面々が会議室に入ってきた。今日は月に一度の営業会議。一番下の計都と私はセミナールームの一番端の席に座り、会議の話を聞く。並んで聞きながら横を見ると真剣な計都の顔。


 さっき言っていた計都の『本気の恋愛』はどんなのだったのだろう。


 そんなことを考えながら時間を過ごした。


 会議が終わると、また計都と私は会議室の片づけをする。乱れたテーブルと机を並べるくらいの簡単なもので、計都はホワイトボードを消していて、私はテーブルの上を布巾で拭いていた。


「なあ。かなえ」

「ん?」

「お前。俺のことどう思う?」


「何よ。急に」


「お前には急だろうけど、俺はそうじゃない。ずっと、かなえのこと見てた。彼氏が出来たと聞いた時にはおかしくなるかと思うくらいに嫉妬した」


「嫉妬?」
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