とろける小春
「本当ならよけられたはずなのに、近くにいた子供にぶつからないように、わざと体を斜面に投げ出したんだろ? いや、照れて否定しなくても俺はわかってる。ずっと小春を見ていたからな」
「え? ずっと?」
「雪が降り始めて視界も悪かったから、好きな女が心配で後ろについて滑ってたんだ」
「好きな女? やっぱり、いたんだ、そんな人」
私は、力なく呟いて肩を落とす。
そっか、好きな人がいたんだ。
きっと篠原君が心から大切に思う特別な人で、優しくて見た目も素晴らしく整っているに違いない。
「あれ?」
私の事をずっと見ていたって言っていたような?
好きな女の後ろを滑っていたって言ったような?
「あれ?」
なんだか妙だな。