とろける小春
好きだと言って思い出のために抱きついてピンポンダッシュのように逃げ去る予定だったのに、こんな足じゃ逃げられないよ。
うわーん、と心で泣きながら、私の体は椅子に座っている篠原くんの膝の上に。
そして、両手は篠原くんの背後数センチにある壁をどどん、と突いてしまった。

「うわあ、ごめんなさい。わ、わざとじゃないの」

そう言って身体を起こそうとするけれど、ギブスが重くて。
相変わらず篠原君の体に乗り上げて、彼の顔を挟むように両手は壁に突いたまま。
篠原くんの顔の動きを封じてしまい、焦りは更に右肩上がり。
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