オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜side
2週間あった休暇もあっという間に終わってしまい、
俺は再び仕事漬けの日々を送っていた。
希和は退院して間もないこともあり、自宅で静養させている。
とはいえ、家事をこなしているのだから、静養とは言えないか。
山積みされた書類に目を通していると、不意に彼女の顔が脳裏に浮かんだ。
退院して10日。
そろそろ落ち着いてもよさそうな感じだが、
昨夜もそうだが、今朝も彼女の顔色はあまり良くなかった。
部位が部位だけに『女性特有の症状だから』と言われれば、
それ以上踏み込んで聞くのは無粋というもの。
毎月あるものが、術後ということも重なって
普段以上に痛みがあるのかもしれない。
男の俺には分からない世界だが、
代われるものなら今すぐ代わってやりたい。
俺はファイルを閉じてパソコンに向かった。
思い立ったらすぐ行動に移すと決めたからには、実行しないとな。
稟議書に目を通す時より険しい顔つきでモニターに釘付けになった俺は、
彼女の苦痛を少しでも和らげることが出来るものが無いかと考え、
手軽で時を選ばず摂取できるものを探し求めた。
「あっ、………これだ!」
俺はウェブサイトに記載されている番号にすぐさま電話を掛ける。
オーガニックブームやヒーリングブームが話題になり、沢山の情報が溢れていた。
俺は仕事を早めに切り上げ、電話予約した店へと急いだ。
向かった先は、『P&N』と書かれたショップ。
世界中の天然原料かつ混ざりものナシというのがコンセプトのオーガニックオイル専門店。
P&Nは、Pure&Naturalの略。
とことん拘り尽くしたものだけを扱っているということもあり、
価格もそれなりに高いと口コミに書かれていた。
だが、俺にとっては価格は二の次、三の次。
大事なのは体に害がなく、彼女の状態が少しでも良くなるのであれば、
幾らだって構わない。
ハーフオンスのボトルで数百ドルするらしいが、
1滴で車1台分だとしても払う価値がある。
彼女が少しでも良くなるのなら。
俺は注文しておいた品を受け取り、自宅へと急いだ。