俺様魔王の甘い口づけ



ルイには、信じられなかった。
そんな人間がいることに。



自分の気持ちも変わってきていることにルイ自身気づいていた。




芽衣子に言われ自分の血を渡したこともそうだが。
芽衣子を助けるために自ら人間界に向かったことも。



以前の自分なら、人間のためにそんなことをするなんて考えられなかったのだ。
人間のために、何かをする自分なんて想像できなかった。




それなのに。



芽衣子に頼まれたら断れなかった。
キイが、その血を持って戻ってきた時心が荒れた。
芽衣子の血の匂いがしたときは、生きた心地がしなかった。



そんな気持ち、初めてだった。




「・・・う・・・」




芽衣子が、苦しそうに顔をしかめる。
ルイは、そっと額に手を乗せる。


じんわりとかいた汗でその額は湿っていた。
芽衣子の苦しみが伝わってくる。



自分のせいで、芽衣子は・・・。





ルイは、その胸を痛めていた。





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