俺様魔王の甘い口づけ


「ルイが、他人のそれも人間のためにあんなに必死になるなんてな」



キイが遠ざかっていくルイの姿を眺めながら呟く。




「それに、感謝だって・・・。おかしいよな」




ケラケラと笑う。
ルイのその変化に、つい笑みが零れた。




しかし、それを快く思っていないのはルイの婚約者であるアンリだ。





「なんで、あんな人間のために・・・ルイ・・・」




ギリギリと苛立ちを露わにしながら、遠ざかるルイを陰から見つめていた。
アンリの心に生まれるのは、芽衣子への嫉妬。





ずっと、ルイだけを見て生きてきた。
ルイは自分にこそふさわしいのだと教えられ。




ルイも、いつか自分を見てくれるはずだと・・・信じて。






それなのに・・・。




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