俺様魔王の甘い口づけ
「引き返そう…」
ただならぬ雰囲気を感じ取った私は、踵を返し走り出す。
さっきの道に戻ろう。
進んだところで、知っている道に出る気配は感じられないし。
でも、進んでも進んでも、さっきの道に出ることはできなかった。
しばらく走ると、ようやく開ける場所が見えてきた。
よかった!元の道に戻れるんだ!
私はホッと胸をなでおろし外に飛び出した。
「え…ウソ…」
しかし、そこで見たのは、さっきと同じような景色。
少し違うのは、そこには遠くに大きな城が見えた。
「城…?」
城の上にはどんより黒い雲が漂っていて、ただならぬ雰囲気。
お姫様が住んでいるお城みたいなキラキラしたお城ではなく。
まるで、ゲームのラスボスが住んでいるような不気味な雰囲気の城。
「魔王でも住んでそう…」
なんて悠長なことを感じた。