俺様魔王の甘い口づけ
ジタバタと体を捩ってもその2人の力は強く、逃げることはできなかった。
私が連れてこられたのは、さっき外から見えていた不気味な城。
その中も、不気味さは健在であちこちに蜘蛛の巣が張り巡らされている。
いったいここはどこなんだろう。
どこに迷い込んでしまったんだろう。
まるで、異世界のような…。
ま、まさかね…。
異世界なんてものあるわけないよ。
そんなもの、小説の中の話だ。
でも、目の前に広がるこの世界はなんだろう。
私の胸に不安が渦巻き始める。
「先客だ」
「くそ、やられた」
「でも、この人間の方が若い」
「バカそうだが」
「仕方ない」
抑揚のない話し方は癖なのか。
というか、ものすごく失礼な事を言われている。
バカそうとか、余計なお世話だ。
それにしても、先客って他にも誰かいるんだろうか?