俺様魔王の甘い口づけ
「いやぁ‼︎お助け下さい‼︎」
城内に響き渡る悲鳴に恐怖を感じた。
いったい、なに?
私は化け物に担がれたままで声がする方が見えない。
恐る恐る体を捻り、その方を確認する。
「お助け下さいっ‼︎」
そこには私のように両側に化け物に動きを固められている女の人の姿。
とても怯えきった姿に不安になる。
いったい何に怯えているのか。
その恐怖はもしかしたら私にも襲いかかる恐怖なのかもしれないから。
「黙れ人間」
「ルイ様にその身を捧げられることを光栄に思え」
両側にたつ化け物が落ち着いた声でそう言う。
ルイ様?
「嫌です‼︎死にたくないっ‼︎」
耳に届くその声に胸騒ぎがする。
まずいんじゃないか?
私、逃げるべきじゃ…。
「は、離して‼︎」
「離すものか」
「離すものか」
ジタバタと暴れてみるけどやっぱり無理。
そうしていると、重量のある扉が開く音がする。
誰かが、入ってくる。
その瞬間、さっきまで叫んでいた女の人は諦めてしまったのか静かになった。