俺様魔王の甘い口づけ
捕らわれるというのは、もっとこう拘束されたり、自由を奪われるイメージ。
でも、考えてみれば私は動きを制限されることもなければ、かなり自由だった。
「でも、無事でよかったよ…。怖かっただろう?もう大丈夫だ」
力強い表情で私を見る。
ありがとう、といえばいいのか私は戸惑い口をつぐむ。
「俺の名前はレオ。君は?」
「…芽衣子」
「芽衣子か。芽衣子は、どこの人間?俺が送り届けるよ」
レオと名乗るその勇者はそう言いながら身体をはたく。
私はその答えにとまる。
「私は…。この世界に、帰る場所なんてないの」
「え?身寄りがないのか?だから、魔王のもとに?」
「…まあ、そんなところかな」
ちょっと違うけど、説明も面倒だしそう言うことにしておこう。
「そうか…。じゃあ、俺んちに来るといいよ」
「え…でも」
「大丈夫。心配ないよ」
そう言って笑うレオは、まるで少年のよう。
正義感溢れた、その姿は本当に勇者のようだ。