めぐりあい(仮)
「え、奥さんが?」
「そうなの。すごくびっくりした」
「それは、びっくりするよね」
次の日、登校してすぐ、
昨日のことを鳴海に話した。
別れを告げられたことに
安心してくれた反面、
恵莉香さんの登場に
心底驚いたようで。
「ま、とりあえず言えてよかったね」
「うん、色々ありがとうね」
いえいえ、と言いながら、
鳴海は自分の鞄を探る。
「ね、妃名子。ナプキン貸して?」
「ごめん、持ってない」
「まじか。じゃあ他の子に借りて来るね」
席を立った鳴海を見ながら、
ふと思い出す。
あたし、最近いつ生理来たっけ。
ナプキンも持ってきてないし、
生理来た日を思い出せない。
もともと生理不順だから、
気にしてなかったんだけど。
「もらえた!」
鳴海が戻って来た時。
突然気持ち悪くなって、
前かがみになる。
口元を押さえるあたしを見て、
鳴海は背中を擦ってくれて。
「え、何。風邪?」
「分かんない。最近、すぐ気持ち悪くなるの」
「気持ち悪いの?」
支えてもらいながら、
トイレに向かう。
歩きながらも吐きそうになり、
トイレにこもって様子を見ることに。
「妃名子、最近いつ生理来た?」
「それが覚えてなくて」
「……まさか、」
鳴海の、まさかと言う言葉で、
あたしもまさかと思った。
まさか。まさか。
「妊娠…じゃないよね?」
トイレから出て来たあたしに、
不安そうな顔で尋ねてくる鳴海。
妊娠。
思ってもみなかった。
だって、そんなの。
ありえない。
「検査薬、買いに行く?」
「いい、いらない。妊娠なわけないじゃん」
「でも、万が一のことがあるかもだし」
「それなら初めから病院行くよ」
妊娠なわけない。
心当たりがない。
そんなわけない。
あたしは少しも疑わなかった。
心当たりがなかったから。
「ほら、戻るよ」
心配そうな鳴海を置いて、
あたしはそそくさと教室に戻った。
授業を受けているのに、
何も考えられない。
そんなわけないんだけど、
だけどそう言われてみれば、
最近本当に生理が来ていない。
最後に来たのは確か、
9月の初めだったっけ。
もうとっくに来てても
おかしくないのに。
「嘘…」
どうしたらいいの。
どうするのがいいの。
薬局で検査薬買う?
それとも病院に行った方がいいのかな。
でも検査薬の使い方、
分かんないし。
買うのも恥ずかしいし。
だけど、妊娠なんて
してるわけないんだし。
証明出来ればいいわけだから。
そう思ったあたしは。
「妃名子…」
「あ、あたし、先に帰るね」
学校が終わって、
すぐ教室を飛び出した。
気付かれないように。
検査してもらって、
妊娠していないことを
証明してもらって。
明日鳴海に堂々と話す。
「どこにあるんだろ…」
そう考えたものの、
どこに病院があるかなんて分からず、
携帯で調べながら歩くことに。
少し学校から遠い所にした。
見つかるとややこしいから。