それが愛ならかまわない
井出島部長に加え、隣にいた立岡さんまでが勝手な事を言っている。けれど近頃頭痛やら疲れやら北見先輩の件やらでうっかり苛立ちが顔に出がちなのは確かだった。
正直な所、心理的に余裕のない表情なんてあまり人に見られて嬉しいものじゃない。日頃の努力も水の泡になってしまうし、気をつけよう。
「そりゃ私だって疲れてる時もあるし、シリアスな顔する事くらい有りますよー。その方が出来る女っぽくて格好良かったりしません?」
心の中で考えているのとは逆の科白が冗談めかして口をついて出る。否定されると分かってるからこそ出る一種のサービス。
「クールなS系美女も俺的には有りだけど篠塚の柄じゃないな」
「篠塚はムードメイカーだからなあ。仕事ゴリ押しされてもピリピリしてるより笑ってる方がいいよ」
二人は揃って苦笑いしながら予想通り否定してくれた。
大丈夫、五年かけて作ってきた居場所と立ち位置はまだまだ強固だ。
「了解しました。これからも篠塚莉子、笑顔のゴリ押しで癒し系として頑張ります」
「笑顔で無茶な案件ねじ込まれたら癒しにはならんだろうが」