それが愛ならかまわない
内心の葛藤を隠しつつ私が両手に持ったマグカップを見て椎名が顔をしかめた。
「何にも食べずにコーヒー飲む気か?」
「え?」
そう言われてみれば、昨夜残業中に買い出しに行ったハンバーガー以来何も食べていない事に気がついた。丸一日近く食事をしていない。
「ごめん、お腹空いてた?私最近あんまり食欲ないし忘れてた……」
「そうやって腹に何も入ってないのに酒やらコーヒーやら飲むから余計に調子悪くなるんだよ。……ゼリーとプリンとヨーグルトと白粥。どれなら食べられる?」
「へっ……」
「バイト行くなら何でもいいから食べとけ。あばら浮いてる。どうせ途中で何か食べるつもりないだろ」
予想外の言葉に目を丸くしていると、指で胸元を示された。確かに最近痩せたせいで鎖骨の下が薄くなって肋骨の形が浮き出てしまっていたけれど。
椎名が冷蔵庫から取り出し、差し出してきたビニール袋の中には彼の言葉通りの品物が入っていた。ここに来る途中で立ち寄ったコンビニで買ったらしい。明らかにそれは最近体調を崩しっぱなしな私の事を気遣ったチョイスで、お酒を買えば良かったなんて事を呑気に考えていた自分が恥ずかしくなった。