それが愛ならかまわない

 お釣りを受け取り二人に別れを告げて店を出ると、あちこちで光り輝くネオンのせいで落ち着いた照明の店内よりも外の方がずっと明るかった。クリスマス前なので余計にどこもかしこもキラキラだ。


「ご飯、どうする?」


 半歩前で時間を確認している椎名に声をかける。


「この辺だと会社の人に見られるかもしれないし、あっちの駅まで帰ってからどこか近所で食べても……」


「篠塚」


 知り合いに出くわすのが気不味い気持ちは分かるし。しかも長嶺さんみたいに即察してくれる人ならまだともかく、変に噂にしたり根掘り葉掘り聞きたがるタイプの人に会ったりすると面倒だよなあなんて考えながらの提案だった。
 けれど私の声なんて聞いていなかったかの様に、椎名が背中を向けたまま名前を呼ぶ。


「前から考えてたんだけど」


 そこで言葉を区切って椎名が振り返る。背景が明る過ぎるせいか、逆光で顔が陰になっている。

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