それが愛ならかまわない

 続きを口にしようとした瞬間、フワッとスパイシーな香りが鼻腔をくすぐった。


「どうぞ。椎名が友達連れてくるなんて珍しいな」


 いつの間に出て来たのか、カウンターの向こうにいた店員が愛想良くカレーの乗った皿を差し出していた。
 恐らく私達と同世代くらい。他に店員の姿はないけれど、店長にしては若くおまけに結構なイケメン。商売柄なのか、もしくは少し長めの髪のせいかどこか艶っぽくて、個人的好みで言うなら石渡君より絶対こっちの方がいい。どうやら椎名とは知り合いの様だけれど、一見の印象では大分雰囲気が違う。


「ありがとうございます」


 濃紺一色のシックな皿につやつやと輝くご飯とカレー、そして小鉢のミニサラダ。
 どうやらキーマカレーの様だった。


「同期だよ」


「じゃあ同い年か。こいつの学生時代の同級生で矢吹直哉です、よろしく。夜の営業がメインなんで次はぜひ会社の帰りにでも」


 差し出された名刺には店長の文字がある。雇われなのか自営なのかは知らないけれど、この歳で店一軒切り盛りしているのであれば中々のやり手なんだろう。


「篠塚莉子です」

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