それが愛ならかまわない

「営業の篠塚です。クライアントとの直接のやりとりは私がするんで、何かあったら言って下さいね」


「溝口小百合です。よろしくお願いします」


 交換した名刺には当然年齢なんて入っていないので分からないし新人ではなさそうだけれど、多分私より年下。
 ハーフアップにしたストレートの髪がかっちりしたスーツの肩の上でサラサラと揺れている。小柄で清楚な雰囲気の可愛い子だった。


「篠塚、お前社食案内頼めるか。もう昼だし」


「え、私ですか?」


 時計を見るとあと5分足らずで12時になる所だった。
 頭痛に悩まされていたせいか、午前中に終わらせるつもりだったデスクワークがまだ片付いていない。


「うちは他に女子いないし、派遣の森谷さん達はお弁当らしいし。溝口さん昼持ってないらしいから」


 女子は女子に任せよう。多分立岡さんはそう考えている。派遣や協力会社の女の子達は多いけれど、確かにこの周辺の女子社員で一番若いのは私だ。
 個人的には同じ仕事している人達とコミュニケーションを取る方が有意義だと思うし、同性同士でなんて発想になること自体がおじさん臭いとは思う。

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