それが愛ならかまわない

「食堂はセルフで食券はないからトレイを持って自分の好きなメニューのコーナーで伝えてね。受け取ったらそのままレジに行って、支払いは現金で」


「分かりました」


 彼女が鴨南蛮そばを、私が天ぷらうどんを持ってレジに向かう。デザートなんて洒落たものは食堂にはないので、食べたければ一階にある売店で買ってこないといけない。
 二人分を社員用のプリペイドカードで済ませてしまうと物凄く恐縮された。見た目通り、素直で真面目な性格らしい。


「私自分の分くらい払いますよ!」


「初日なんだし、今日だけだから気にしないで。社員はカードで一割引きなの」


「すみません……ごちそうになります」


 何のことはない、先輩方が以前やっていた事を真似ただけなのだけれど五百円しないメニューのせいか素直に溝口さんは引き下がってくれた。


 昼休みの食堂は当然混んでいる。机はどれも八人がけの長机なので相席が基本だ。
 空席を探しながら歩いていると、右側から声がかかった。

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