それが愛ならかまわない

「篠塚さん!」


 振り返ると、石渡君が満面の笑顔で手を振っていた。


「席探してる?ここ隣どうぞ」


 同期の男性社員4人で昼食を取っていた、その中に椎名の姿を認めて足が止まる。カレーを食べている椎名はこちらを見ようとはしなかったけれど、石渡君が呼んだのが私だという事は気づいているだろう。
 偶然とは言え、最近接触が多い気がする。石渡君の好意もあからさまだし素知らぬふりでかわすのも難しくなって来ているので、彼に近づき過ぎるのにも少し躊躇いがあった。


「……篠塚さん?呼ばれてますけど……」


 後ろから溝口さんが遠慮がちに声をかけてくる。


 変に避ける方が不自然だ。そう言ったのは私自身だ。
 覚悟を決めて私は石渡君に歩み寄った。


「ありがとう、助かる。席探してたんだ」


「篠塚さんあんまり食堂で食べてないよね。一緒出来て嬉しいよ」
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