それが愛ならかまわない

 爽やかイケメンはサラッと歯の浮くような事を言ってくる。
 とりあえず笑って受け流す事にして、私は彼の示した空席を見た。空いているのは石渡君の隣と、その向かいの椎名の隣。


「どうぞ」


 椅子を引かれてしまうと、そこに座る以外の選択肢がなくなってしまう。仕方なく私は石渡君の隣に腰を下ろした。溝口さんが椎名の隣にトレイを置く。


「何か篠塚さん顔色悪くない?体調悪いとか?」


 石渡君、目ざとい。
 立岡さんだけじゃなく石渡君にもこんな風に言われてしまうということは余程今日の私は生気のない顔をしているらしい。


「そうかな。別に問題ないよ、元気」


 溝口さんがさっきの立岡さんとのやりとりを思い出して口にしても困る。それ以上の追及を逃れる為笑いながら石渡君から顔を逸らすと、ちょうどこちらを見ていた椎名と目が合った。
 こういう時の椎名の人を見透かすような視線は苦手だ。被害妄想かもしれないけれど、彼にはどんなに笑顔の仮面を貼り付けてもバレている気がしてしまう。不自然にならないように気をつけながら椎名からも視線を外す。

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