それが愛ならかまわない

「彼女は?」


「新しく協力会社から来てもらう事になった溝口さん」


「溝口小百合です、よろしくお願いします!」


「石渡陽介です。俺ら四人篠塚さんと同期なんだ。部署違うとあんまり接点ないと思うけどよろしく」


 石渡君に続いて他の二人も簡単な自己紹介をする。彼らはよく石渡君と一緒に同期会の幹事を務めていたりするので、私も名前を知っている。
 特に安田君の目が輝いていた。どうやら彼は溝口さんみたいなタイプが好みらしい。


「金融の椎名です」


 椎名の挨拶は一言ボソリと呟いただけだった。


「ごめんね、こいつ愛想なくて。無口だけど機嫌悪いわけじゃないから」


 すかさず石渡君がフォローを入れる。


 無口……椎名が?
 今となっては私の中にそんな印象はない。ただ確かに知り合う前の存在感のなさを思えば、同期の前ではあまり人の手の内を読んで毒を吐いたりする『素の椎名』ではないんだろう。なんで石渡君とよく一緒にいるのかは謎だけれど、石渡君はリーダーシップがあるし面倒見が良いので協調性のなさそうな椎名が放っておけないのかもしれない。

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