それが愛ならかまわない
「暫くは結構忙しいんで、早めに……今月中に決めて言ってもらえたら何とか出来るかもしれない」
仕事では絶対使えない曖昧過ぎる答え。
仕方ない。バイトを休むような事はしたくないので、参加しようと思ったらシフトを入れる前に言ってもらうしかない。
視界の端に捕らえたままの椎名の口角が少しだけ上がるのを私は見逃さなかった。
バイトの事も知っているのだから私が石渡君の誘いにはっきりと答えられない事を分かっているんだろう。人が困っている状況を喜ぶなんて全く感じ悪い。
「オッケー分かった。今月中に決めるよ」
歯磨き粉のCMでも出来そうな笑顔で石渡君が笑う。
自分の手持ちの情報と長嶺さん情報を合わせると石渡君に気がある女子は結構いるらしい。打っても響かない私なんて放っておいて次に行けばいいのに。
「立岡さんは職場や仕事について教えてやれってつもりだったんだと思うけど……全然話せなくてごめんなさい」
食堂からの帰り道、溝口さんに謝ると彼女は慌てたように首を振った。
「いいえ、私は楽しかったです。ごちそうさまでした」