それが愛ならかまわない
結局私は横をがっちり石渡君に固められ、溝口さんは溝口さんで安田君の止まらない弾丸トークに気圧され、結局食事が終わるまでろくに話も出来なかった。
「社食がある会社で仕事するの初めてだし……うちの会社は同期で集まったりとかもしないんで、羨ましいです」
私はこの会社以外で働いた事はないので他を知らないけれど、溝口さんは職種上複数の会社に派遣された経歴があるんだろう。
それは私が得る事のない貴重な経験なので、少し羨ましかったりもする。社内で当たり前に思っている事が他社では全く違うかもしれない。その差異は結構興味深い。
「あとあえてミーハーな事言っていいなら、ここの会社格好良い人多いですね。そこも羨ましいです」
くすっと可憐な顔で溝口さんが笑う。
「ああ、石渡君は同期の中でも目立つからね」
「立岡さんとかも大人の男って感じで素敵ですよー。井出島部長も渋いし」
溝口さんの評価は社内では三枚目キャラで通っている本人達が聞いたら喜びそうだ。
「あと……椎名さんも」