☆Friend&ship☆ -序章-
次にヘルメスが見たのは天上だった。
天上。
天“上”。
唐突に引きずりだされて何とか出てきたものの、完璧に微笑む天使の吐息を感じた。
慌ててもとに戻ろうとしたが、引きずられていく。
「うあ…は、離せ…あ…離して」
「うなされてるんだやめてやれ」
「死ぬな!死ぬなぁぁぁ!!!」
「やめろ…!!」
何やってんの、とイーリスが首をふりふりため息をついた。
少し背伸びしてううう、と呻いているヘルメスの顔を見た。
必死にヘルメスを揺さぶるゼウスはもはやヘルメスのうめき声は聞こえない。
ビッショリと汗をかいて跳ね起きたヘルメスはズキン、と痛む頭を抱えた。
軽くめまいを起こしてしまった。
はぁはぁ荒い息を吐いているとぼんやりと虹色に光り輝く髪を見つけた。
「大丈夫なの?」
「…あぁ」
色気たっぷりの寝起きにも動じないイーリスは頬杖をついてヘルメスを観察していた。
「悪いな、心配かけて」
「まったくだわ。あの人大変だったの」
「ゼウスか…まあ、いずれなれる」
「なかよしなの?」
「さあな」
ゆっくりベッドから下りようとするヘルメスを観察し続けて完全に降り立ったのを見届けるとイーリスは叫んだ。
「あ、逃げだそうとしてる!!!!」
「…」
「馬鹿やろ寝てろやこのやろ…」
「俺は働く。離せ」
「絶対動くな!」
押し問答の前に強制的にゼウスがヘルメスをベッドに固定した。