君の名を呼んで 2
私が話題を無理矢理に変えたのは分かっているだろうに、皇から返ってきたのは意外な言葉で。

『いや、戻って来るならタクシー使え』

「は?いくらかかると思ってるんですか」

何?

『いくら掛かってもいいから、長時間独りで出歩くな』

いきなり過保護な発言に戸惑う。
そんなの、いままで言われたことも無いのに。しかも夜中とかならともかく、まだ早朝だ。

『経費でいい。真野が払うから』

じょーのうちぃぃ~と言う唸り声と、電話の向こうでシレッと言う城ノ内副社長の姿が浮かんで、つい笑いが漏れた。
ああ、いつもの彼だ。


「城ノ内副社長は経費使い過ぎですよ。わけわからない接待とか接待とか接待とか」

『必要経費だろ』


ーーいつもの、私だ。


「すぐに、帰りますから」


会えばきっと、不安は消える。


そう信じてーー。
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