重い想われ 降り振られ
橘が幸治を睨みつける。

「だめだよ橘。ここにいる幸治くんは、自分の親が営んでいる旅館の経営状況なんて
知りもしないんだから。湯水のようにお金を使うしか能の無い下衆なんだから。」

小林は「そうそう・・・。」とスーツの胸ポケットから用紙を取り出す。

パラっと広げて見せたのは、真理子の父親が書いた借用書だった。

「ついさっき、香田さんの父親が借りた500万円の残りの代金は全て支払終わった。
その上で香田さんはここにいる下衆くんと婚約するだろうか?」

小林が真理子を見る。

真理子は言葉が出ないほどにびっくりしている。

なんとか首を左右に振って意思を伝えた。

「・・・と言う理由で、君がこれ以上香田さんに手を出す事は出来ない。」

小林は眼鏡の淵を持ち上げ、幸治を睨みつけた。

幸治は「くそっ。」と、部屋を出ようとした。

それを橘は「待て。」と言って引き止める。

幸治は機嫌悪く振り返る。

橘は真理子を放し、幸治に詰め寄った。
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