重い想われ 降り振られ
「俺は自分の親父の跡を継ごうとは一度も思った事は無い。三男だから?
笑わせるな。俺があんなチンケな会社に収まりきれる人間じゃねぇからだ。
しっかり覚えておけ。」

高身長の橘が幸治の目の前に立ち、見下ろした。

幸治は何も言い返せずに部屋を出ていった。

小林は畳の上に落ちている見覚えのある眼鏡を拾い、真理子を見る。

「まだ使っていてくれてたんだね。」

小林がほほ笑むと、真理子は思わず小林にも抱き着いた。

「小林さん!」

小林は「間に合ってよかった。」と真理子の背中を撫でた。

そっと真理子の顔に眼鏡を戻す。

「話は後でゆっくりと・・・とにかく下のロビーでお母さんが心配してたから
早く行って安心させておいで。」

真理子は小林に「ありがとう!」と頭を下げると、廊下を走って行った。

恐い顔で睨む橘を、小林は振り返らないようにした。

「さて、僕達はもう一仕事だね。」
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