重い想われ 降り振られ
橘と小林は旅館の支配人に案内され、社長室に向かった。

社長室ではすでに社長と女将が待っていた。

小林は先ほど真理子の親の借金を返すために顔を出していたが、真理子が心配で
一旦席を外した。

「お待たせしました。こちらの私用は無事済みましたので話を再開しましょう。」

小林が告げると、社長はがっかりした様子で俯く。

女将は表情を崩さず、凛としたまま社長の背後に立っている。

「先日の株主総会で決まった通り経営権はこちらにありますが、我々としても
今後は女将には仕事を続けていただきたく思っております。ですが・・・
社長は辞任していただきます。ただし別の形で残っていただいても結構です。
後、こちらのご自宅はどうされますか?一応旅館の所有になっておりますが。」

「まっ・・・待ってくれ!自宅まで取られると、私達の住む所が無くなります。」

社長は焦って取り乱す。

「では自宅についても後日担当と話しをさせます。とりあえず経営は今まで通り
行ってください。細かい変更などは、担当に伝えておきますので。」

小林が話を区切ると社長は立ち上がり、女将と一緒に深々と頭を下げた。
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