重い想われ 降り振られ
何件か電話をかけて切った後、再び真理子の元に戻ってきた。

「とりあえず私は、天候が収まるのをここで待って歩いて帰ります。
これだけ濡れてるし、途中で傘買えたら買うし・・・。」

橘の電話中に考え抜いた結論を告げた。

それを聞いた橘は、深い溜息を一つ吐いた。

『何か変な事でも言ったかな?』と真理子は疑問に思う。

真理子の鞄を引ったくり、手をつかんで「来いっ!」と橘に引っ張られる。

駅を出て、再び嵐の中を早足で歩く。

橘には早歩きでも、真理子には駆け足になる。

激しい風雨の中、真理子には前を見る余裕が無い。

足元を見ながら、橘に引っ張られるままに進んだ。

10分ほど嵐の中を歩いた頃、建物に入ったらしく橘の足が止まった。

前を見ていなかった真理子は、橘の背中に軽くぶつかる。

「あっ・・・ごめんなさいっ。」

顔を上げた真理子の目には、可愛げな名前の看板が目に飛び込んだ。

いわゆる“ラブホテル”と呼ばれる場所の玄関だった。
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