重い想われ 降り振られ
パネルには一か所だけランプが付いており、
橘は迷わずそのパネルのボタンを押した。

鍵を受け取り、エレベーターに乗り込み、真理子に構わず橘は奥に進んだ。

「この嵐で、空いてるのはここしか無かった。」

部屋の前で一言、橘は言って鍵を開けた。

室内に入ると、やけにピンク調の部屋でレースが盛りだくさんだった。

二人分の鞄を乱雑にソファーに投げ置き、橘は真っ直ぐバスルームに向かった。

ずぶ濡れの真理子は、大きなキングサイズのベットの前に取り残された。

体が冷え切って寒さを感じながらも、初めて入ったホテルの室内を見回した。

『照明とエアコンのスイッチってどこだろう?』

薄暗い部屋には、間接照明の明かりしか灯っていない。

橘はバスタブの蛇口をひねり、お湯を出して戻ってきた。

立ち尽くす真理子を洗面所まで連れて行き、タオルを渡す。

「お湯が溜まったら、先に入れ。濡れた服は乾燥機に放り込めばいい。」

洗面所から出て行こうとする橘を、真理子は引き留めた。

「あの。私は平気なんで、先に入って下さい。」
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