重い想われ 降り振られ
橘の濡れた上着を引っ張ったまま、真理子は言った。

橘はここでもまた、溜息をつく。

「着いて来たんだ、文句いわずに先に入れ!」

乱暴に洗面所の扉を閉め、橘は出て行ってしまった。

橘に押し切られ、真理子は暖かいシャワーを浴びた。

ピンク色のタイルの上を、お湯が流れる。

入れてくれたお湯に浸かり、体が温度を取り戻す。

やけに広いバスルームに浴槽、真理子はちょっと贅沢な気分を味わった。

本当はもっとゆっくり浸かって居たかったが、
濡れたままの橘を待たせるわけにはいかないと思い、早目に上がった。

備え付けのバスローブを着て、濡れた服を乾燥機に入れた。

洗面所を出ると、部屋には暖房が入れてあり温められていた。

橘はベット脇の窓辺に寄りかかり、ビールの缶片手に雑誌を読んでいた。

「お風呂、ありがとうございました。橘さんも早く入ってください。」

真理子が声を掛けると、何やらファイルを差し出された。

「腹減ったから、注文しといて。」
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