重い想われ 降り振られ
「よぉ。」

橘の表情に、真理子は恐怖を感じた。

明かりがほとんど無い室内で、実際には橘の表情など解るはずは無いのだが、
獲物を仕留めた獣のような瞳だけは、真理子には印象的に見えた。

「携帯だけじゃ足りずに、さらに無視するつもりじゃねぇよな。」

『携帯?』

真理子が横眼で廊下の床に落ちている鞄を見る。

横に投げ出された鞄は、中身が散らばっている。

その先に、点滅している携帯が見えた。

小林と会っている最中に携帯が鳴るのは失礼だと思い、
音を消していた事を思い出す。

「何だその恰好は。やけにめかし込んでるじゃねぇか?
小林とデートでもしてたのか・・・。」

「服は・・・違う!小林さんとは前から約束してて・・・。」

真理子は動揺しすぎて、ちゃんと言葉が出てこない。

橘はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
< 78 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop