拾った子犬(系男子)は身元不明
「そーいえば、名前聞いてもいいですか?」


イケメン君が、パスタを口一杯頬張りながら聞いてきた。


「そーいえば、名前言ってなかったね。
 
 私、武井千夏。」


「オレ、高橋夏樹です。」


それから、夏樹君はあっという間にパスタを平らげた。


「ごちそうさまでした!!ホンマに何から何までスイマセン!!」


「もう、いいよ。さっさと寝よ!」



食器をさげ、歯を磨いた。


来客用の布団を出しながら言う。


「ついこの間、友達が来て使ったばっかりだから、大丈夫。」


「あ、はい、ありがとうございます。」


「じゃあ、電気消すよ〜」


「はい。」


私は自分のベットで、夏樹君は布団で寝た。



暗い中、冷静になって考える。


不思議な状況だと。


初めて会った、しかも8歳も年下のイケメンと同じ部屋で寝ている。


いくら、行動派の私とはいえども、こんな事初めてだ。


「ホンマに助かりました。オレ、絶対浪人できないんで、正直、あのままやったら、どうしようかと思ってたんです。」


「そっか、お役に立てて光栄です。」


暗い中、視界を奪われて思う。


声までかっこいい。


「でも、駄目ですよ?」


「何が?」


「いくら困ってたとはいえ、見ず知らずの異性を軽々しく部屋に入れたら。

 ホンマは、危ないんですよ?」


「わかってる。こんなこといつもしてるわけじゃないよ。」


そう、さすがにそこまでバカじゃない。


「それなら、ええですけど・・・」


「もう、そんなこと良いから、寝なさい。

 明日、早いんでしょ?」


「ハイ。おやすみなさい。」


「おやすみ〜」


よっぽど疲れていたのか、規則正しい寝息がすぐに聞こえて来た。


私も、最近残業続きで疲れていたのかすぐに意識が遠のいて行った。
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