今宵、月下の夜に
その仕事もあって長く家に居られない日もたくさんあった。

でもそんなときには杏那が信頼できる人たちが変わりにやってきては面倒をみてくれた。


その一人が遼治さん。私と同じくらいの男の子の親なのだと教えてくれた。

いつも笑っている人。第一印象は穏やかで優しそうな人だった。杏那とは違う優しさを感じた。

ルカに出会ったのも同じ時期。遼治さんに連れられてきたルカはまだあどけなかった。ルカは私と違いとても明るかった。私をみるなり近寄ってきて話しかけてくれた。

「なまえ、なんていうの?」

初めてかけてくれた言葉は私にとっては重い鎖のようなものだった。
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