闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
言葉が出ない。
俺の頭のなかを、よく分からない感情がぐるぐる回る。
鼓動が激しくなって、足と手が震える。
今、俺を支配している感情は“恐怖”だ。
『醜いだろ。汚いだろ。』
黒い下着だけになった彼女の肌は真っ白。
凹凸がハッキリしているからだ。
だけど、そんな真っ白な肌で綺麗な身体に似合わない色が無数に存在している。
『この傷は闇から抜け出そうとして捕まったときに殴られた跡。
これは、殺し屋に刺された跡。
これは、嫉妬に狂った独占欲。』
ひとつひとつの傷を触って歯を食い縛りながら絞り出してくる。
紫、赤黒、紫、ピンク、黒
それぞれの色が光希の白い肌に依存しているかのように咲いている。
『前、唯一愛した男に言われたよ。
私は毒花らしい。男を狂わせる。醜くさせる。
自分でも分かってたんだ。だけど、愛した男のために綺麗でいたかった。
愛されてる自信があったから。その男も、結局は私に狂っているだけだった。』