守花ー私と馬鹿でお人好しなあいつー
 私は精神的衝撃でクラクラする頭を押さえながら、廊下の窓に寄りかかった。

 窓からは暑い中汗を流しながら頑張るテニス部員達が見えた。
「部活入ってないのはおまえらだけだから、部活代わりだ」
 先生のその発想はどこから来るんだろ?
「そりゃねーよ!」
 抗議する葉月をよそに、私はため息をついた。
 部活が盛んな学校だし、一年次は必ず入ってなきゃいけない。止めるタイミングが無いからか、止めたいって言ってる子でも今まで続けている。
 でも、葉月だけは例外。
 一年の夏休み前にはもう、バスケ部の幽霊部員。夏休み明けには退部してたっけ。
 先生に色々言われたけど、葉月はへらへら笑ってこういう性格だからとごまかしていた。

 本当はそんな理由じゃないくせに。
 私にも理由は言ってくれなかった。だから、私も理由は聞かなかった。
 でも、今はそれでよかったって思ってる。

 窓を開けると、少し涼しい風が入ってきた。けど、すぐに生暖かい空気と混ざる。
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