スケッチブックに描くもの
 なぜこんなに眠いんだろう。春のせい? いや、ただの恋ボケのせいか。なかなか進展しない、いや進展できない自分の馬鹿さを日々悶々と考えてたのが、昨日夜中に再燃したから。あー、眠いよ。授業も目を開けるのが精一杯で休み時間に爆睡していたら、ざわめきと声が聞こえてきた。「地学、地学」と女子が鞄や机を探ってる。
 ん? 誰か地学の教科書を借りに来た? 私は机に手を入れて地学の教科書を取り出し頭に乗せる。

「ここにあるけど」

 手の中の教科書が浮く。借主は誰かと振り向いた。

「さ、佐伯君」
「ありがとう」

 え、え? みんな軽く私を睨んでるよ。彼は自分の教室へと去って行く。あっという間の出来事。
 莉子が近づいてきて私に言う。

「アリスよく持ってたね。地学。今日ないじゃない」
「あ」

 私は基本教科書を置いて帰っている。重いからね。だから、持ってた。
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