嘘を重ねて。
「お母さんね…結映の事が何よりも大切よ」
「…っ」
その言葉を聞いた時
全身の力が一気に抜けた
「ごめんなさい結映…お母さん、貴方に幸せになってもらいたかった。私のような思いはして欲しくなかった。ただそれだけなのよ…」
母は涙ぐみながら
初めて私に胸の内を明かした
「昔は“お母さん”っていつも着いてくるような明るくて元気な子だったわね…でもいつからか暗くなって、私からも距離を置くようになった。」
「…私はずっと働いてたから。こんなの言い訳にしかならないのでしょうけど、貴方にどう接するべきか分からなかったのよ…」
つまり、母は私の幸せを願った故に
こんな態度をとっていた、という事
その事実を知った今
私の目からは止めどなく涙が溢れてきた
「結映…辛い思いをさせてしまって、ごめんなさいね…ッ」
「お母さん…ッ」
母はギュッと優しく抱き締めた
懐かしい感触
懐かしい香り
こんなに心地の良いものだっただろうか
そんな思いを噛み締めながら
私もそっと、抱き締め返した
「ユエ」
「…っ」
背中に飛んできた声に振り返ると
穏やかに笑うタク
私も微笑み返すと
タクは小さく“良かったな”と呟いた