ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
自重気味に笑ってみた。
「フフフッ」と笑った後は、
目から涙がポロポロこぼれた。
このまま誰にも見つけてもらえなかったら、どうしよう。
心細さに泣きながら、彼の名前を口にする。
来るはずないと、分かっているのに。
「久遠さん…… 久遠さん……
久遠さーーんっ!」
空に向けて叫んでから、ハッとした。
今、懐中電灯の明かりが真上を横切った気がした。
それは気のせいではなく、
「夏美、いるのかっ!?
どこだっ!」
私を捜す、彼の声も聞こえた。
急いで立ち上がって、居場所を教える。
「ここです!井戸の中です!」
上から眩しい光に照らされた。
「何でこんな所にいるんだ!
お前は馬鹿かっ!」
怒鳴り声も降ってきた。
怒られても嬉しかった。
迷惑女の私を捜してくれたと知って、胸が熱くなった。